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カゴ (被差別民) : ミニ英和和英辞書
カゴ (被差別民)[たみ]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

被差別 : [ひさべつ]
 (n) discrimination
: [さ]
  1. (n,n-suf) difference 2. variation 
差別 : [さべつ]
  1. (n,vs) discrimination 2. distinction 3. differentiation 
: [べつ]
  1. (adj-na,n,n-suf) distinction 2. difference 3. different 4. another 5. particular 6. separate 7. extra 8. exception 
: [たみ]
 【名詞】 1. nation 2. people 

カゴ (被差別民) : ウィキペディア日本語版
カゴ (被差別民)[たみ]
カゴCagots)は、フランス西部とスペイン北部の被差別民である。彼らの居住地は、ピレネー山脈ナバーラ州バスク州ベアルンアラゴン州ガスコーニュブルターニュに及ぶ。地域により様々な名称があり、ガスコーニュでは「カゴ(Cagots)」「ジェジタン(Gézitains)」「ガエ(Gahets)」「ガフェ(Gafets)」、バスクでは「アゴテ(Agotes)」「アゴタク(Agotac)」「ガフォ(Gafos)」、アンジューラングドックでは「カポ(Capots)」、ブルターニュ半島では「カコン(Cacons)」「カエ(Cahets)」「カケー(Caqueux)」「カカン(Caquins)」と呼ばれる。史料によると、彼らの存在は紀元1000年にまで遡ることができる〔Robb, p. 43.〕。
カゴは差別を受け、隔離されて生きていた。彼らはカゴテリ(''cagoteries'')と呼ばれる辺鄙な一角に住むことを求められた。カゴには、いかなる政治的・社会的権利も与えられなかった。彼らが教会に入るときは専用の扉を使わねばならず、礼拝のときは他の信者と一緒にならぬよう仕切りで隔離されていた。彼らは秘跡に参加することが許されず、木製の匙の端で聖餐を授けられ、専用の聖水盤を使わねばならなかった。彼らは特殊な衣服を着るよう強制され、地域によっては、この衣服にガチョウアヒルの脚が貼りつけられていることもあった(そこから彼らはカナール"Canards"と呼ばれることもあった)。彼らが触れるとペストに感染すると考えられたため、彼らが裸足で公道を歩くことや、彼らがカゴ以外の人間と同じコップで飲むことは犯罪とされた。カゴは大工や肉屋や縄職人になることしか許されなかった〔〔Sean Thomas, "The Last Untouchable in Europe," The Independent, London, 28 July 2008, p. 20 〕。
カゴは民族集団でも宗教集団でもない。カゴは地元民と同じ言語を話し、通常は地元民と同じ宗教を信じていた。彼らの共通点は、カゴとみなされる祖先を持つことだけだった。彼らが差別された理由については、クレチン病だったから、ハンセン病だったから、宗教的異端者だったから、人肉食の習慣があったから、単に性質が邪悪だったから、などの諸説があるが、整合性のある理由はほとんど存在しない。カゴには固有の文化があったが、そのほとんどは文字に書き残されておらず、現代に受け継がれてもいない。結果として、彼らについては被差別に関わること以外ほとんど何も知られていない〔。彼らに対する過酷な迫害は中世からルネッサンス時代、産業革命の時代にも続き、19世紀から20世紀に至ってようやく偏見の解消をみた。
==起源と語源==
カゴ(''Cagots'')に関する諸名称とカゴ自身の起源については明らかになっていない。西ゴート族の末裔でカゴの語源は''caas''(イヌ)と"Goth"(ゴート族)であるとの説もあるが、この語形での"cagot"は1542年になってから初めて文献に現れたものであるところに難がある。16世紀のフランスの歴史家ピエール・ド・マルカは、著書''Histoire de Béarn''の中で異説を唱え、カゴという語は「ゴート族の狩人たち」の意であり、カゴの祖先はサラセン人であると主張した〔。カゴが「8世紀にムスリムが侵入した際、スペインとフランスに取り残されたムーア人の兵士の子孫である」との説は「多くのフランスの専門家たちに支持されている」と2008年の『インデペンデント』紙に報じられたことがある〔。
もう一つの説は、カゴは異端者としてアルビジョア十字軍に迫害されたカタリ派の末裔であるというものである〔。1514年レオ10世 (ローマ教皇)にカゴが陳情をおこなった時はこの説が採られたものの、実際にはカタリ派が異端とされる前からカゴの存在は確認されている〔Robb, p. 45.〕。
カゴに言及した史料の一つは1288年にさかのぼり、この史料の中でカゴは''Chretiens''(クレティヤン)あるいは''Christianos''(クリスティアノス)と呼ばれている 。ここから、カゴは初期のキリスト教への改宗者であったとの説も唱えられている。もともとカゴが非キリスト教徒の地元民を蔑視していたところ、地元民の改宗後は逆にカゴが差別される立場となったというわけである〔。彼らが''Chretiens''(クレティヤン)あるいは''Christianos''(クリスティアノス)と呼ばれたのは、中世にハンセン病患者が''pauperes Christi''(貧しいキリスト者)として知られたことに由来するという説もある。すなわち、西ゴート族であろうとなかろうと、カゴは中世にハンセン病あるいは類似の病気(たとえば乾癬)に冒された者の子孫である、Christians(キリスト教徒)とCretins(クレチン病患者)が混同されたのはこのためである、という説である〔。しかしながら、当時の勅令では明らかにハンセン病患者とカゴが別個の被差別民のカテゴリに入れられている〔。
カゴが多かったボルドーでは、彼らは''ladres''(ラドゥル)と呼ばれた。この語は、「強盗」「強奪者」を意味するスペイン語の''ladrón''(ラドロン)と近く、古くはケルト語のbagaudae(あるいはbagad)とも同義であり、''agote''の語源になったとも考えられる。
カゴの身体的特徴や民族性とされるものは伝承によって著しく異なる。特にハンセン病起源説が支持されている地域ではカゴは金髪碧眼とされるが、サラセン人起源説が好まれる地域ではカゴはかなり色黒とされる〔。ただし、カゴには耳たぶがないとされたり、片耳がもう一方の耳より長いとされたりするのはどの地域でも共通している〔。
グレアム・ロッブは、上記の説のほとんどをありそうもないことと退け、次のように述べた。
中世における大工のギルドが凋落してカゴの祖先となった、との説も現代では唱えられている。この説では、フランスとスペインのカゴに共通する顕著な特徴、すなわち職業の選択が制限されていたという事実をうまく説明できる。赤い鳥の水かきの紋章を身につけることがカゴに義務付けられたのは、それがギルドの本来の紋章だったからかもしれない。9世紀から10世紀にかけてサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路では短期間の建築ブームが起きており、このブームがギルドに権力をもたらす一方、内紛も引き起こした可能性がある。この内紛で失職した大工の集団が離散し、カゴの祖先となったのかもしれない〔Robb, p. 46.〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「カゴ (被差別民)」の詳細全文を読む




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